インヴェンティットのテクノロジーとその見つめるさき

私たちの生活がもっとゆったりとしていた時代、「ヒト」は産まれた瞬間から家族やそれを囲むコミュニティに見守られていました。また製造された「モノ」においても、消費者の手に渡るまで生産者や販売者によって見守られ、消費者が購入し所有者となった後も生産者、販売者によって見守られていました。
「ヒト」であっても「モノ」であっても、生まれた瞬間からなんらかの経年変化に向かっていくのは宿命です。
しかし、それらが突然に変化(それが悪い変化”Unpleasant surprise”)が起きることは、その対象にとってももちろんですが、それを取り囲む人にとっても不幸なことです。
悪い変化が起きないように常に見守り、変化が起きたとしてもそれをいち早く察知して、それに対応できる処置を行うということは、このような不幸を取り除く、あるいは和らげるための重要な手段です。

従来は物理的に近い「ヒト」が「ヒト」を、「ヒトや組織(コミュニティ)」が「モノ」を見守ることにより、これが実現されてきましたが、近年これが難しい時代になってきています。

しかしネットワークが発達した現代においては、地理的に離れた(それが地球の反対側にあっても)「ヒト」や「モノ」をつなぐことはそれほど困難でなくなってきました。
またIT技術の発達により、今まで人が行っていた<見守り>を情報処理の助けを使って、大量の対象(「ヒト」や「モノ」)に対して効率的で迅速に対応することが可能です。

当社はこのようなネットワークをIT技術と融合して、“だれでも”が“どんな対象”に対しても“どこからでも”見守りができる世界を作れるような技術開発を目指しています。

当社の基盤技術を要素として構成される見守りサービスでは次のような利点が生まれます。またはIoT(Internet of Things)と呼ばれていますが、ここでは全てのモノ、ヒト、環境に対する見守りを意味するとして、”見守りサービス“、それを実現するためのシステムとして”見守りシステム“と呼びます。

見守りサービスによる利点

1. 生活品質の向上(Better Quality of Life)
一人暮らしの高齢者や自宅療養をされている方を種々のセンサーを使って健康状態情報を収集して、遠隔地の家族や介護士、医療機関が見守ることができます。
道路に設置してあるセンサー、ETCやGPSのデータを利用して得られた交通量データや車載されているセンサーから得られるドライバーの運転状況と信号機の制御と連動することで渋滞緩和や移動時間の短縮、そしてCO2排出量の低減実現可能が可能となります。
クレジット会社がカードの利用された場所が、カード保有者が通常利用している地域でないと保有者に警告を発信することにより、未然に不正利用が拡大するのを防ぐことができます。

2. 販売後の商品に対するケア(Smart After-market Service)
サービス業だけでなく、モノを売る(販売)という行為とそれを購入するヒト(顧客)は常に存在します。製品をより安心して効率的に利用してもらうことによるブランドイメージの向上、遠隔監視により故障が起きる前に予防措置をとることにより顧客のビジネスや生活にダメージを与えないことができます。また故障が起きた際に遠隔からログ収集、診断、場合によっては不具合の修正を行うことによりダメージを最小限にすることにより、顧客満足度を向上するだけでなく、現場に駆け付ける頻度を削減することによりコスト、CO2を削減することができます。
また製品に対する顧客のフィードバックやニーズを知ることにより、別の製品をレコメンドしたり、次世代製品企画に役立てたりすることができます。これらはソーシャルメディアのコメント情報を参考にすることでも可能ですが、実際の”モノ“から取得することにより、より正確でターゲットを絞ったマーケット情報として役立てることが可能となります。

3. 生産性や収益性の向上(Business Intelligence)
顧客の製品の利用・稼働状況を遠隔監視することにより、その顧客、あるいはある対象地域の顧客の自社製品に対する市場動向を知ることが可能となり、今後の製品計画・出荷計画に役立てることができます。例えば自販機で、ある特定の飲料だけがある時期のある場所でよく販売されていることが分かれば、その地域向けの出荷を促進することにより、ビジネス機会を逃さないで済むようになります。
損害保険会社が走行距離に応じた保険の掛け金を決めるような新たな保険メニューを追加したり、カーナビのGPSや車載センサー(スピード、加速度、ブレーキの踏み具合など)と、走行距離などの実際の走行や運転状況を知り、契約者個々のリスク分析を行うことにより、マージンの確保と契約者の価格満足度向上を図ったりすることができます。
またこのような利便性は一次産業の効率化にも有効となります。例えば田畑に気象センサー、土壌センサーを設置し、気象データと収穫量や品質などのデータとの関係を把握することで、農業プロセスを最適化することで生産性と収益性を向上させるといった活用が考えられます。

多様性とそれらのマッチング

このように多種多様な利点がコンシューマやビジネスに生まれてくるため、“ヒト“や”モノ”を見守るために、2020年までに50兆個ものセンサーやマシンなどのデバイスがネットワークにつながると予想されています。世界の人口が72億人ですので、その数の膨大さが想像できます。

上記のようなサービスは以前も一部提供されていましたが、最近見直されるようになってきたのは、下記6つの推進力が大きな要素となっています。

1. センサー、通信モジュールなどのハードウェアコストの低下
2. 広域に渡る(国内・国外)ネットワーク(特に携帯電話を始めとする移動体通信網)の拡充
3. ビッグデータを処理する技術の進歩
4. 見守りサービスを提供するためのエコシステムの芽生え
5. ビジネスアプリケーションの充実
6. クラウドサービスと技術の発展

M2M成長の機動力

しかしこのような用途の異なる見守りシステムを個別に構築していくためには膨大な費用と時間がかかります。実際今まではこのようなシステムはM2M(Machine to Machine)システムと呼ばれ、ビル監視システム、自販機監視システム、セキュリティシステムといった具合に用途ごとに開発がされてきました。またこのようなシステムでは異なる監視対象機種が新規に加わるというだけで多大の改造費用がかかり、気軽に見守りサービスを提供したり、長期に渡る運用環境を提供したりすることが困難でした。顧客要求が目まぐるしく変わり、新たなハードウェアの技術・コストが従来にないスピードで進化する現代にあってシステムの陳腐化のスピードは今までにないほど高速化してきています。このような状況にあって従来の開発手法で世の中が求めている見守りシステムを迅速かつ継続性をもって提供することは不可能であり、開発手法、サービスの提供の方法の大きな変革を求められています。

このため当社では“Platform First“という概念を導入しました。これは全ての垂直型の見守りシステムを構築する前に、個々の見守りシステムに共通的に使えるプラットフォームを提供して、個々の見守りシステムではこの共通機能で提供できない機能を個別に開発・提供するという発想です。本プラットフォーム(ServiceSync)は、それだけが独立した製品となっているだけでなく、当社のあらゆる製品の基盤技術となっています。例えば当社のスマートデバイス企業向け遠隔管理製品(MDM: Mobile Device Management)であるMobiConnectは、ServiceSyncをベースとして開発されたソリューション製品であり、企業でのスマートデバイスそのものあるいは利用者の見守りサービスを提供するものです。このためServiceSyncがクラウド環境で提供される場合、それを利用したクラウド型MDMサービス(MobiConnect)は、前者がPaaS(Platform as a Service)であり、後者はSaaS(Software as a Service)となります。

Inventit製品群と個々の関係

この共通機能は見守りの中心となるサービス提供者(センター)側の機能(ServiceSyncサーバ)と管理対象であるマシンやセンサー1側の機能(ServiceSyncクライアント)、それらをネットワークで接続するためのプロトコルで構成されます。これらはあくまでもプラットフォームで、個々の見守りサービスを実現するものではありません。見守りのアプリケーションというものが必要となります。これは例えばデバイスから取得される(あるいは通知される)データを解析したり、それによって今後の動向を予測したり、データを処理した結果をユーザが見やすい形態に表示(可視化)するような処理を行うものです。これらの処理はセンター(サーバ)側だけでなく、デバイス側も必要です。ServiceSyncではこれらのアプリケーションを実装するためのアプリケーションインタフェース(プラットフォームAPI)を提供しています。当社のMDM製品であるMobiConnectやIT-MOMはこのAPIを使って開発されたものとなり、Platform Firstという発想に基づいて非常に強固で柔軟性の高いシステムを構築することが可能となっています。

ServiceSyncで構成される見守りシステム

言い換えれば、サーバ側のアプリケーションは対象のデバイスとのやり取りを直接行う必要はなく、ServiceSyncサーバAPIを通じてデバイスを制御したり、デバイスからのデータを取得したりすることが可能となります。またデバイス側のアプリケーションもサーバと直接やり取りをする必要はなく、ServiceSyncクライアントAPIを通じてサーバとのやり取りを行うことが可能となります。これによりサーバ側のアプリはエンドユーザにとって付加価値の高い解析や可視化といった処理に専念でき、デバイス側にアプリはデバイス固有の処理に特化することが可能となり、システム全体として非常に差別化要素の高いものとなります。またServiceSyncゲートウェイというオプション機能をデバイス側に搭載することにより、デバイス側のアプリケーションを遠隔でライフサイクル管理(アプリ状態の監視、アプリの更新・追加・削除)といったことがセンターから行うことができるようになり、出荷後に顧客要求が変わったとしても、デバイス設置現場に保守要員が行く必要がなく、保守性を向上するだけでなく、システム全体を非常に継続性の高いものとすることが可能となります。

クラウドによる鳥瞰的視点

ServiceSyncで構成されるIoTシステム

さらに多くの見守りシステムでこの共通機能を利用できるようにクラウド基盤で提供しています。これにより見守りサービスを提供する事業者はどこからでもインターネットを通じてプラットフォームを利用できるだけでなく、監視するデバイスが増加した場合にサーバのスケーラビリティを考慮する必要がなく、サーバの運用保守のためのコスト(TOC: Total Own Cost)や要員を削減することが可能となります。従来このよう見守りサービスを提供したくてもできなかった中小企業でも自分たちが製造・出荷したものに対して遠隔から保守・運用することが可能となり、顧客満足度を向上できます。さらに、その製品の補修品・補充品がなくなる前に検知することができるため、いち早くこれらを顧客に提供することにより、ビジネス機会を失うことなく収益を確保することができるでしょう。また、電力(スマートシティ、スマートグリッド、節電)、輸送(トラッキング、配送システム)、ヘルスケア(遠隔医療、高齢者の見守り)といった社会インフラサービスを統合して提供しようとするような場合にも、ServiceSyncの提供するプラットフォームを基盤として種々の垂直型見守り・遠隔サービスを構築することができ、ServiceSync自身はそれらの社会インフラを支えるインフラを提供することとなります。

このような見守りサービス事業は、マネタイズするまでに時間がかかったり、あるいはそもそも大企業が中心として提供したりするものとは限りません。膨大な数の中小企業が事業主となって提供することによって成り立つビジネスモデルです。プラットフォームを提供する主体と、それを使って個々の見守りサービスを提供する事業主体とが協業することによって大きく発展していくものとなります。また構築に必要なセンサーデバイスベンダー、これらを束ねて公衆ネットワークに繋ぎこむゲートウェイベンダー、ネットワークを提供する通信事業者、そして、デバイスから集まったデータを解析処理する事業者が見守りプラットフォームを提供する当社と協業することによって、初めて出来上がる世界(エコシステム)となります。このようなエコシステムは、個々の主体が個別に組んで作り上げてきた垂直統合の見守りシステムと異なります。それは、見守りサービスをエンドユーザに提供するための水平統合された新たなエコシステムといえます。

ServiceSyncによるアプローチ

新たなIoT/M2Mサービスエコシステム

このような目的を達成するために当社の見守りプラットフォームServiceSyncは次のような技術的特長を持っています。

1. カスタマイズ可能なプラットフォーム
プラットフォームを提供するだけでは個々の見守りサービスを提供される事業者毎の差別化ができません。例えば同じ遠隔ヘルスケアサービスを提供されたいという事業会社も競争があり、それぞれ独自性をもったサービスを提供できる仕組みが必要となります。個々のサービス提供者毎の要求に応じてプラットフォーム自身をカスタマイズできる柔軟性の高いプラットフォームを提供することにより、多くの事業者に利用していただけます。

2. デバイス非依存
見守りサービスと一口に言っても建設機械の遠隔監視、自販機の遠隔監視、スマートデバイスの遠隔制御、携帯端末のソフトウェア更新、遠隔ヘルスケア、農地の土壌・気象状態監視など種々のマシン・センサー、それにヒトや環境といったものが見守りの対象となります。種々の見守りサービスに対応したプラットフォームとしては見守り対象のセンサー・マシン・環境に依存しないアーキテクチャーを実現しています。これによって業種やマーケット、対象デバイスに依存せずに見守りサービスを提供することができます。

3. アプリケーション開発環境の提供
サーバ側ではWebAPIを使ってユーザは自由にデバイスからのデータを解析したり、デバイスに対して制御の指示やデータの取得をするためのアプリケーションを開発したりすることができます。取得されたデバイスデータはサーバ側のデータベースに格納されます。したがって、ユーザアプリはデバイスに対して直接アクセスする必要はなく、APIを使ってデータを取り出すことが可能です。そしてデータを解析したり、可視化したりするといった処理が可能となります。また外部のシステム(例えば地図データ管理システム、天気情報管理システム、顧客管理システム、ソーシャルネットワークなど)との連携もこのAPIを通じて行うことが可能となります。デバイス側もServiceSyncクライアントが提供するAPIを利用して、サーバとのやり取りを行うためのアプリケーションを開発することが可能です。

4. イベント駆動型
見守りサービスの自動化を行うため、あるいは異常時の対応を迅速に行うためには、デバイスから取得されたデータを一旦蓄積して、バッチ処理をしていては間に合わないこともあり、データを取得したと同時に(on-the-fly)処理を行い、決められたアクションを行う必要があります。例えば複数のセンサーから取得された過去10分のデータがある閾値を超えている場合、警告を出すといった処理となります。またこのようなイベント駆動型の処理はセンターのサーバだけでなく、デバイス自身あるいは複数のデバイスを集めて集約してセンターに繋ぎこむゲートウェイでも必要で、センターのサーバにデータをあげる前に異常を検知するようであれば、即座にアクションを起こすような処理が必要となります。これをIntelligence on Edge and Serverと呼んでいます。これには下記3つの利点があります。

1) デバイス側でセンターサーバに送るデータをフィルタリングできるため、ネットワークの利用が低減し回線費用の削減を見込める
2) 緊急性の高い事象はサーバ側ではなくデバイス側で処理をすることにより、迅速な対応が可能となる
3) 双方向性

センサーデータをサーバにあげるようなデバイスからのプッシュ技術だけでなく、サーバからデバイスに対してプッシュする(例えばデバイスに制御コマンドを送る)という双方向性が必要となります。これは遠隔の機器運用・監視・制御といった分野だけでなく、データを収集するだけの見守りシステムでも重要なことです。
「データは十分集まっているが有効利用されていない。これからはこれらを有効利用するビッグデータ処理の時代」「データを集めることは簡単で、それを解析することが難しい」ということをよく聞きます。しかしデータをうまく解析する優秀なデータアナリストというのは、信頼できるデータを収集するところから始まります。世の中には多くのノイズデータ(誤ったデータ、冗長なデータ、本質の原因究明に関係がないデータなど)が多く、信頼できるデータを収集するのはノウハウが必要です。このためにはデバイスからのデータを一方的に取り込むだけでなく、サーバからデバイスに対してより高次のデータを収集するために診断プログラムを実行指示したり、別のセンサーからのデータを追加として集める必要があることがあります。このようにして信頼できるデータを収集して初めて、その後のビッグデータ処理が生きた結果を導き出すことができるのです。

5. クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型の提供
サーバの提供形態として見守りサービスのサービス提供者自身がサーバを運用する必要がないクラウド型、サービス提供者が準備するサーバ(データセンター、クラウド)上で動作させるオンプレミス型、またデバイスから取得したデータだけはサービス提供者のサーバ環境で蓄積処理されるが、それ以外の処理は当社提供のクラウドを利用するといったバラエティに富んだ提供が可能で、ビジネス形態によって、あるいはビジネスの発展形態に応じて使い分けることが可能となっています。

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